6月13日の「ガッテン!」は、『せきが止まらない!歯が溶ける!犯人はまさかの“胃”!?』と題して、胃酸がテーマ。
日本人の胃酸を出す細胞が、40年で1.35倍に増えていて、その影響などもあり胃酸が食道まで逆流する逆流性食道炎が急増し、謎のせきや歯が溶ける原因にもなっている。
解説してくれたのは、川崎医科大学総合医療センター特任教授の春間賢先生。
逆流性食道炎とは?
胃の内側は粘膜に覆われていて、胃酸でダメージを受けることはない。
しかし、食道は違う。
食道は胃酸にさらされ続けると、傷ついてしまうことがある。これが逆流性食道炎で、その症状として胸やけが現れることが多い。
意外に気づかない胃酸のトラブル
胃酸の逆流によるトラブルは、胸やけだけでない。
せきが止まらなくなったり、歯が溶けたり、中耳炎になったり、さまざまな症状が現れる。
胃酸が逆流するとわかりそうな気もするが、食道の感覚には個人差があり、胸やけがないまま他の症状が出る人もいる。
なぜ胃酸を出す細胞が増えているのか?
日本人は胃酸を出す細胞そのものが40年で3割以上も増えていて、その分胃酸の量も増え食道へ逆流もしやすくなったが、なぜ胃酸を出す細胞が増えたのか?
肉の消化に多くの胃液が必要
春間先生によると、食べ物の影響が非常に大きい。
昔は、魚と炭水化物が主だったが、戦後肉を食べる量が増えたことで、消化のために多くの胃液が必要になった。
胃の細胞は肉などのたんぱく質を食べると特にたくさんの胃酸を出す。戦後70年で日本人が肉を食べる量は3倍になり、その結果、胃酸を出す細胞が頑張り続けることに。こうして、細胞が鍛えられるかのように数が増えていったと考えられるという。
ピロリ菌の減少
もうひとつの要因がピロリ菌の減少。
ピロリ菌に感染している胃は、炎症が起きて胃酸が出にくくなる。
かつての日本人の多くが胃にピロリ菌を持っていて、胃酸が少なかった。
衛生環境の変化や治療の結果、ピロリ菌感染率は激減。
ピロリ菌の除去は、胃潰瘍や胃がんのリスクを下げるために重要だが、胃酸がたくさん出るようになったという。
胃酸逆流危険度チェック
・ちょっと肥満が気になる
・猫背だと言われる
・大食い
・ストレスを感じることが多い
・お酒をよく飲む
・食べてすぐに横になることが多い
ひとつでも当てはまると、胃酸に注意が必要という。
肥満や猫背だと、胃に圧力がかかりやすい。
胃酸で困らない生活のポイント
胃腸薬は大きく2種類
薬局にいくと400種類ほどの胃腸薬があるが、大別すると「胃酸を抑える薬」と「総合薬」がある。
胃酸を抑える薬、あるいは、胃液を中和する薬は、胸やけに一番よいという。
総合薬は、胃の粘膜を保護し、胃の動きが悪いときに動きを良くしてくれるという。
一時的な応急処置であって、ずっと飲み続けるものではない。
飲んで1~2週間たっても症状が取れない場合や、ひどい症状が出た場合は重篤な病気が隠れている場合があるので医療機関できっちり検査を受ける。
胃酸を抑えるにはバランスのよい食事
生活の中で胃酸を抑える対策の一番は、食事内容。
肉はエネルギー源として必要で、特に高齢者には大事。
量を食べ過ぎずに、バランスのよい食事を心がける。
胃の粘膜はだいたい1か月で入れ替わるので、腹八分目の食生活を実行すると1か月で胃が変わる。
食べ過ぎたときの逆流対処法
それでもどうしても食べ過ぎてしまうこともあるが、そんな食べ過ぎてしまったときにはどうしたらよいか?
枕を高くする
仰向けになると胃液が逆流しやすく、起きていると逆流しにくい。
枕を高くして、10°でも上げるとそれだけでも違う。
上半身が少し起き上がる枕もあるが、畳んだ毛布を枕の下に敷くだけでも良い。
厚手の毛布3~4枚重ねくらいが目安。
食後30分は横にならない
できれば2時間、本当は3時間起きていると一番いいと、春間先生。
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