日本人女性のおよそ10人に1人、特に月経のある女性では5人に3人が貧血とも言われている。
NHK「きょうの健康」で、『あなたの貧血 最善の対策』として、貧血の改善策や予防策などが紹介された。
解説してくれたのは、東北大学大学院・張替秀郎教授。
鉄欠乏性貧血とは
血液の量そのものは変わらなくても、赤血球の量が減り質が低下した状態。
一番多いのは、鉄不足による鉄欠乏性貧血。
血液の中には赤血球が存在し、赤血球は酸素と結合し肺から全身へと酸素を送り届ける大切な役割を果たしているが、赤血球が酸素と結合できるのはヘモグロビンと言うタンパク質のおかげ。
このヘモグロビンを作るために、鉄が欠かせない。
体内の鉄が不足すると、ヘモグロビンがうまく作られない。すると赤血球もうまく作られないのでその数が減り、大きさも小さくなってしまう。
これが鉄欠乏性貧血。
鉄欠乏性貧血の症状
貧血そのものによって現れる症状は、動悸、息切れ、疲れやすい、顔色が悪い、頭が重いなど。
鉄不足による症状としては、爪が薄くもろくなり反り返ってしまったりする爪の変形、脚がむずむずして夜ねむれなくなるレストレスレッグス症候群、氷を食べたくなるといったものがある。
鉄が不足すると、爪のような入れ替わりの激しい細胞分裂が盛んなところで症状がでやすい。
鉄不足の原因
鉄不足によって貧血になる原因は大きく分けて3つ。
・食べ物から十分な鉄がとれていない・・・成人男性には7~7.5mg、月経のある女性では10.5mgが一日あたりの推奨量
・体内での鉄の需要の増加・・・妊娠中や授乳中の女性、成長期の子どもは鉄の需要が増える
・出血
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鉄剤はヘモグロビン値が改善しても数か月は服用する
鉄剤でヘモグロビン値が改善しても、飲み続けなければならない。
体にはヘモグロビンに使われる鉄のほかに、貯蔵鉄という予備の鉄がある。
ヘモグロビンの鉄が足りないと貯蔵鉄から鉄を引き出すが、貧血はヘモグロビンにも貯蔵鉄にも鉄がない状態。
鉄剤を処方すると、緊急性の高いヘモグロビンから鉄が潤うが、貯蔵鉄の鉄を満たすにはその後も数カ月間飲み続けなければならない。
鉄剤の副作用
鉄剤の副作用には、吐き気、胃痛、下痢などの胃腸障害がある。
まれに発疹したりする。
便が黒くなるのは、鉄剤を飲むとよくおこることなので、心配しなくて良いそう。
副作用が気になる場合は、鉄剤の種類や服用のタイミングを変えたりしてみる。
かくれ貧血
かくれ貧血は、正式には「潜在性鉄欠乏」という。
そのまま放っておくと貧血になることもある貧血予備軍で、ヘモグロビンには鉄があるが貯蔵鉄がない状態。
月経のある女性や成長期の子どもは、積極的に鉄をとる。
貧血の予防
貧血予防の原則は、食事から。
レバー、赤身の肉、赤身の魚、小松菜、大豆製品、ひじきといった鉄の豊富な食材をとる。
ビタミンCが鉄の吸収を促進してくれるので併せて取る。
1度にたくさんと言うよりもバランスよく毎日とる。
健康診断で貧血と診断された場合には、あまり軽く考えずに積極的に医療機関に行って原因を調べてもらうのが大事とのこと。
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