予備群も含めると高齢者の4人に1人が認知症で、その7割近くを占めているのがアルツハイマー病。
このアルツハイマー病は治療が難しく、なかなか予防もできないとされてきたが、近年予防の可能性が見えてきたという。
5月17日の「ガッテン!」では、いつでもできる認知症の予防のやりかたが紹介された。
解説してくれたのは、鳥取大学医学部の浦上克哉教授。
アルツハイマー病とは
アミロイドβというタンパク質のゴミが溜まると、脳のなかに老人斑(シミ)ができる。
このアミロイドβの蓄積が、アルツハイマー病の引き金と考えられている。
最先端の研究では、アミロイドβがどれくらい溜まっているかがわかるようになってきたが、この蓄積を抑えることが予防のカギ。
アルツハイマー病はアミロイドβの排出と関係
アルツハイマー病は予防できると信じて研究しているワシントン大学医学のジョン・モリス先生によると、アミロイドβは、アルツハイマー病が発症する25年前から溜まり始める。
アミロイドβの産出量は、健常者もアルツハイマー病患者も同じ。
それに対し、アミロイドβの排出量は患者のほうが少ない。
アミロイドβを排出する睡眠
ワシントン大学医学部のデイビッド・ホルツマン先生が健康な145人の睡眠を調査したところ、熟睡して睡眠の質が高いほどアミロイドβを排出するという結果になったという。
一生を通して質のよい睡眠をとることで、認知症のリスクを減らしたり、進行を遅らせたりできるのではと考えられている。
オレゴン健康科学大学医学部のジェフェリー・アイリス先生のネズミの実験ではあるが、睡眠中に脳は細胞の間に隙間を作り、その道を通ってアミロイドβなどの物質を流しやすくしていることが分かった。
マドリード大学病院の研究によると、6~8時間の睡眠では認知症の発症リスクが低い。
また、国立精神・神経医療研究センターの研究によると、30分以内の昼寝をした人は発症リスクが5分の1に軽減するという。
良い睡眠がアミロイドβの蓄積を抑えてアルツハイマー病を防げるかは、今後の研究で証明していかねばならない。
脳神経を活性化させる
有酸素運動は、弱った神経細胞を活性化するホルモンを分泌し、アミロイドβを分解する酵素も増やす。
いろんな人をおしゃべりをしてコミュニケーションをとる。
知的活動によって、頭を使いながら指先を動かす。
すでにアルツハイマー病にかかっている人も、良い睡眠をとってアミロイドβが溜まっていくのを防ぐことができるが、難しいことを無理やりやるのは逆効果になるそう。
マインド食
国立循環器病研究センターの齊藤聡医師によると、減塩が大切。
バランスの良い食事が認知症予防につながる。あわせて塩分を控えることが大切。
そうすることで、脳の血管を丈夫にする。
脳の血管をしなやかに維持することが、アミロイドβの排出のカギという。
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